【決算レポート】INPEX(1605)2025年12月期|エネルギー安全保障の中核・高配当資源株の実力

決算速報レポート

国内最大の石油・天然ガス開発会社であるINPEX(証券コード:1605)の2025年12月期本決算が2026年2月に発表されました。エネルギー安全保障への注目が高まる中、累進配当を継続しながら大規模な成長投資を推進するINPEXの実力を、決算データとともに詳しく解説します。

会社概要|日本のエネルギー安全保障を支える基幹企業

INPEXは国内最大規模の石油・天然ガス開発企業です。国際石油開発帝石として知られ、日本政府(経済産業大臣)が大株主として関与する、いわば「準国策エネルギー企業」とも言える位置づけです。

主力プロジェクトであるオーストラリアのイクシスLNGプロジェクトは、日本企業が主導する史上初の大型LNG事業として知られ、日本・東南アジア向けに安定的な天然ガスを供給しています。ロシア・ウクライナ情勢以降、エネルギー輸入先の分散確保が急務となる中、INPEXの事業はまさに「エネルギー安全保障の要」として評価されています。

  • 本社:東京都港区
  • 事業領域:石油・天然ガスの探鉱・開発・生産、LNG、再生可能エネルギー、CCS/水素
  • 主要プロジェクト:イクシスLNG(オーストラリア)、アバディLNG(インドネシア)、国内ガス田など
  • 上場市場:東証プライム

直近の業績推移

INPEXの業績は原油・ガス価格の動向や為替(特に円ドルレート)の影響を強く受けます。以下に直近4期の主要業績と配当金をまとめました。

決算期売上収益純利益(親会社帰属)1株当たり配当金
2023年12月期約2兆900億円約3,218億円72円
2024年12月期2兆2,658億円4,273億円86円
2025年12月期(実績)3,938億円100円
2026年12月期(会社予想)1兆8,930億円3,300億円108円(予想)

※2023年12月期は概算値。2026年12月期は会社発表の業績予想値。

2025年12月期 決算のポイント

純利益は前期比7.8%減も、過去2番目の高水準

2025年12月期の純利益(親会社に帰属する当期利益)は3,938億円と、前期比7.8%減となりました。一方で、これは過去2番目の高水準であり、引き続き高い収益力を維持しています。

油価・ガス価格と為替の影響

INPEXの売上収益は原油・天然ガス価格と円安の影響を強く受けます。2024年12月期は円安効果が1,523億円の増収要因となった一方、単価下落が577億円の減収要因となりました。2025年12月期は原油価格の軟調や価格変動が利益を下押しした一方、引き続き円安が追い風として機能しました。

上方修正と株主還元強化

2025年11月の第3四半期発表時点で純利益を200億円上方修正し、同時に自社株買いの上限も200億円増額するなど、株主還元の強化姿勢が明確でした。

2026年12月期 業績予想

2026年12月期の業績予想は以下のとおりです。

  • 売上収益:1兆8,930億円(前期比約6%減)
  • 営業利益:9,570億円(前期比約16%減)
  • 純利益:3,300億円(前期比16.2%減)
  • 1株当たり年間配当金:108円(中間54円+期末54円)

減益予想の主な要因は、原油価格を保守的に設定していることです。市場実勢より低い想定油価を採用しており、実際の油価がこれを上回れば上方修正の余地があります。取締役は「将来の業績に相応の自信を持っている」とコメントしており、減益計画でも増配を継続する姿勢は評価されています。

また、「INPEX Vision 2035」に基づく3カ年成長投資計画では、石油・天然ガス分野への8,500億円の成長投資を含む総額1兆9,000億円の投資を予定しており、将来の生産・収益拡大を目指しています。

配当金・株主還元の魅力

累進配当の導入で「下げない配当」を宣言

INPEXは新中期経営計画において累進配当方針を導入しました。累進配当とは「減配しない・業績が上向けば増配する」という方針であり、長期保有株主にとって非常に心強い姿勢です。

配当の推移を見ると:

  • 2023年12月期:72円
  • 2024年12月期:86円(+14円増配)
  • 2025年12月期:100円(+14円増配)
  • 2026年12月期(予):108円(+8円増配)

業績が前期比で減益となる見込みの2026年12月期においても増配を宣言しており、株主還元への強い意志が伝わります。現在の株価(約3,846円)に対する配当利回りは約2.8%(2026年予想108円ベース)となっています。

自社株買いも積極実施

INPEXは自社株買いも積極的に行っており、配当と合わせた総合的な株主還元を強化しています。2025年12月期の総還元性向は約56%とのことで、稼いだ利益の半分以上を株主に還元する方針です。

保有状況と含み益

私のINPEX保有状況は以下のとおりです。

  • 取得単価:1,559円
  • 現在値:3,846円
  • 含み益:約2.5倍(+147%)
  • 年間配当収入:配当金額×保有株数分

取得単価1,559円から見ると、現在値3,846円は約2.47倍です。取得単価ベースの配当利回りは約6.9%(2026年予想108円÷1,559円)となっており、長期保有の恩恵を実感しています。

エネルギー株は「シクリカル(景気循環型)」と見られがちですが、INPEXの場合はイクシスLNGの長期契約による安定収入と政府関与による安定感があり、単純なシクリカル株とは一線を画していると考えています。

NISAとの相性

INPEXはNISA口座での長期保有にも向いている銘柄です。以下は100株を現在値(3,846円)で購入した場合の試算です。

項目金額(100株想定)
購入金額(概算)384,600円
年間配当金(2026年予想108円)10,800円
配当利回り(現在値ベース)約2.81%
NISA非課税メリット(年間)約2,200円(税率20.315%相当)

NISA(成長投資枠)の年間投資枠240万円の範囲内で購入でき、配当金への税金が非課税になるメリットを享受できます。累進配当方針により将来的な増配も期待できるため、長期保有前提のNISA活用に適した銘柄と言えます。

個人株主としての見解

2025年12月期は前期比で減益となりましたが、依然として3,938億円という高水準の純利益を維持しており、失望感はありません。むしろ注目しているのは以下の点です。

1. 累進配当の導入
「減配しない」という経営の意志表示は長期投資家にとって大変心強いです。配当を生活の一部として計画している株主にとって、配当の予測可能性は非常に重要です。

2. 成長投資8,500億円の先にある収益増
現在の投資フェーズが実を結べば、数年後の生産量増加・収益改善が見込まれます。短期の減益よりも、この成長投資の内容を重視しています。

3. エネルギー安全保障の観点
地政学的リスクが高まる世界情勢の中、エネルギーの安定供給を担うINPEXの社会的役割はますます重要になっています。政策的な追い風も期待できます。

4. 原油価格リスクへの注意
一方で、原油・ガス価格の急落は業績に直撃します。2026年予想が保守的な油価設定を前提としているのはリスク管理上評価できますが、長期的な脱炭素の流れがいずれ需要に影響することは念頭に置いておく必要があります。

取得単価1,559円から約2.5倍になっている現状、売却を急ぐ理由はありません。累進配当を受け取りながら長期保有を継続する方針です。


【免責事項】
本記事は個人の投資記録・感想の共有を目的としたものであり、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。記載している数値は公開情報をもとにしていますが、情報の正確性・完全性を保証するものではありません。投資判断はご自身の責任において行ってください。株式投資には価格変動リスクがあり、元本が保証されるものではありません。

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