小松ウオール工業(7949) 2027年3月期1Q決算レポート ― いちばん薄い四半期で営業利益+36%、受注残は240億円へ

小松ウオール2027年3月期1Q決算レポート 決算速報レポート

7月27日の取引終了後、小松ウオール工業(7949)が2027年3月期の第1四半期決算を発表しました。発表前に書いた予測記事で挙げた3つの注目点(前年1Qを上回れるか・受注は堅調か・原材料コストはどうか)について、答え合わせをしていきます。結論から言えば、3つとも良い方向の答えでした。

1. 会社概要

小松ウオール工業は1948年創業、石川県小松市に本社を置く間仕切り(パーティション)専業メーカーです。オフィスや公共施設を仕切る「可動間仕切」「固定間仕切」「トイレブース」「移動間仕切」を手がけ、間仕切事業ひとつで売上を作る専業の強み。子会社を持たない単独経営(決算も非連結)で、事業は国内中心です。中期経営計画「NEXT VISION 2028」の4年目にあたります。

2. 業績推移

決算期売上高営業利益純利益EPS年間配当
2025/3実績446.2億36.4億26.5億145.6円65円
2026/3実績467.3億41.0億30.5億173.3円130円
2026/3 1Q実績96.1億3.06億2.16億12.31円
2027/3 1Q実績99.8億(+3.8%)4.18億(+36.2%)2.67億(+23.5%)15.18円(+23.3%)
2027/3通期計画486.0億(+4.0%)42.6億(+3.9%)30.5億(±0.0%)173.39円135円(予)
出所:決算短信・決算補足資料。※2024年10月に1→2の株式分割。EPS・配当は分割考慮後の実質額。通期計画は据え置き。

3. 決算ポイント — 薄い四半期で営業利益+36.2%

予測記事で書いたとおり、この会社の1Q(4〜6月)は1年でもっとも利益が薄い四半期です。オフィスの移転・改装が年度替わりの1〜3月に集中するため、前期の四半期別営業利益率は1Q3.2%→4Q12.7%と大きく偏ります。したがって「通期計画に対する進捗率が低い」のは毎年のことで、悪材料ではありません。

その薄い四半期での比較で、今回は売上99.8億円(+3.8%)、営業利益4.18億円(+36.2%)。予測記事で第一の注目点に挙げた「前年1Q(営業3.06億円)を上回れるか」は、3割超の増益でクリアという答えでした。1Qの営業利益率は2.4%(2025/3期)→3.2%(2026/3期)→4.2%(今期)と、3年連続で改善しています。

小松ウオール1Q実績の3年比較
1Qどうしの比較。売上は3年連続で増加、営業利益率も2.4→3.2→4.2%と着実に改善している。

三番目の注目点だった原材料コストについても、良い答えでした。売上総利益率は35.2%(前年同期比+0.5ポイント)と上昇。会社は「製品ミックスや前期に行った価格改定効果により原材料価格上昇を吸収した」と説明しています。値上げがきちんと通り、コスト増を利益で飲み込めている状態です。販管費も+2.0%の増加にとどまり、売上比では31.5%→31.0%へ改善しました。

一つだけ、数字の見え方に注意が要る点があります。営業利益+36.2%・経常利益+36.6%に対して、純利益は+23.5%と伸びが小さいことです。これは本業が弱いからではなく、税金の負担が重かったためです。法人税等の合計は前年1Qの1.05億円から1.71億円へ増え、税負担率は約32.7%→約39.1%に上がりました。

営業利益と純利益の伸びの差は税負担
経常利益から税金を引いたものが純利益。今回は税負担率が上がったため、純利益の伸び率だけが小さく見えている。

4. 受注の状況 — 受注残高240億円(+9.3%)

二番目の注目点だった受注環境も堅調でした。1Qの受注高は135.1億円(+6.5%)、受注残高は240.2億円(+9.3%)。受注残高は固定間仕切を除く全品目で増加しています。受注残は「すでに受けている仕事の在庫」なので、これが積み上がっているのは今後の売上の裏付けになります。

小松ウオール品目別売上と受注残
主力の可動間仕切は受注残が+18.9%。移動間仕切は文化施設の大規模改修・建て替え需要で売上+38.2%と急伸した。

品目別に見ると、主力の可動間仕切は売上+3.1%と堅調で、受注残が+18.9%と大きく積み上がりました。移動間仕切(大空間を仕切る製品)はオフィス向けの好調に加え、文化施設の大規模改修・建て替え需要を捉えて売上+38.2%と急伸。会社はホテルなど宿泊施設向けの回復にも言及しています。一方でトイレブースは売上▲10.6%と落ち込みました。新築ビルや工場向けの減少が理由ですが、受注残は+7.7%と増えているため、単月・単四半期の納期のズレという面もありそうです。

項目1Q実績中間計画通期計画
売上高99.8億219.0億486.0億(進捗20.5%)
営業利益4.18億12.1億42.6億(進捗9.8%)
経常利益4.39億12.3億43.1億(進捗10.2%)
純利益2.67億8.6億30.5億(進捗8.8%)
通期・中間の会社予想は4月27日公表から据え置き。営業利益の1Q進捗9.8%は前年同期の7.5%を上回っており、季節性の中では良い入り方。

会社は中間・通期の予想を据え置きました。上方修正はありませんでしたが、1Qで中間計画(営業12.1億円)の約35%を消化しており、進捗は前年より良好です。なお生産能力を増強する加賀工場2号棟(投資額約95億円)は2027年5月の操業開始に向けて建設中で、今期は関連投資39億円を含む52億円の設備投資を計画しています。

5. 配当の魅力 — 135円予想を据え置き、利回り5.0%

この銘柄の最大の魅力である配当も、予想据え置きです。純資産配当率(DOE)6%を目安とする方針のもと、年間135円(中間65円+期末70円)で5期連続増配の計画が維持されました。

項目数値(2027/3計画ベース)
年間配当(予想)135円(中間65円+期末70円)
予想EPS173.39円
予想配当性向約77.9%
配当利回り(7/27終値2,699円)約5.00%
自己資本比率81.0%(前期末80.7%)/有利子負債ゼロ
方針DOE6%目安・5期連続増配・2028/3期も継続方針
配当性向は約78%と高いが、DOE(純資産に対する配当)基準のため利益の波では配当が動きにくい設計。自己資本比率81.0%・実質無借金の財務が支えている。

配当性向78%という数字だけを見ると「無理をしていないか」と心配になりますが、この会社は利益に連動する配当性向ではなく純資産に対するDOEを基準にしています。純資産は利益より変動が小さいため、多少の業績の波では配当が下がりにくい設計です。今回の四半期末で自己資本比率は81.0%へさらに上昇し、有利子負債はゼロ。現預金も前期末から16.5億円増えて138.9億円になっており、配当を払いながら工場投資も進められる体力があります。

6. 類似銘柄との比較

銘柄予想PERPBR配当利回り
小松ウオール(7949)15.6倍1.24倍5.00%
コクヨ(7984)18.3倍1.44倍2.77%
イトーキ(7972)13.0倍2.46倍3.06%
オカムラ(7994)10.5倍1.09倍4.48%
数値は2026年7月27日時点の株探等に基づく概算。オフィス空間関連の主要各社と比較。

オフィス空間まわりの各社と並べると、小松ウオールは配当利回りが断トツで高いという位置づけが続いています。PERはやや高めですが、これはDOE基準の手厚い還元と好財務が評価されている面もあります。間仕切り専業のニッチトップという事業の質と5%の利回りの組み合わせが、この銘柄の持ち味です。

7. 保有状況

私は小松ウオールを取得単価923円で保有株数分保有しています。7月27日終値は2,699円(前日比+71円、+2.70%)で、含み益は約+192%(取得価格の約2.9倍)。取得単価に対する配当利回り(取得利回り)は約14.6%まで育ちました。なお決算開示は15時30分=取引終了後だったため、この日の株価上昇は決算内容とは無関係です。市場の評価が出るのは翌営業日以降になります。

8. NISAとの相性

利回り5%の中小型高配当株は、NISA成長投資枠と相性が良い銘柄です。仮に100株(約27万円)をNISAで保有した場合、年間配当13,500円が非課税で受け取れます(通常は約20%課税されるため、手取りで約2,700円の差)。DOE基準で配当が下がりにくい設計は、非課税メリットを長く受け取るうえで心強い材料です。

9. 個人株主としての見解

予測記事で見たかった3点は、いずれも良い答えでした。①前年1Q(営業3.06億円)を大きく上回る+36.2%、②受注高+6.5%・受注残+9.3%と受注環境は堅調、③価格改定と製品ミックスで原材料高を吸収し粗利率は+0.5ポイント改善。地味な会社ですが、やっていることは着実です。

気をつけておきたい点も挙げておきます。トイレブースの売上が▲10.6%と落ちたこと(新築ビル・工場向けの弱さ)、純利益の伸びが税負担で目減りしたこと、そして通期予想が据え置きのままである点です。1Qが好調でも会社は計画を動かさなかったわけで、下期のコスト増(人件費・材料費)を慎重に見ているということだと思います。中東情勢に絡む石油由来原材料の高騰は、会社が「業績予想に織り込んでいない」と明記しているリスクのままです。

それでも、DOE6%という配当方針、自己資本比率81.0%・無借金の財務、そして受注残240億円という仕事の裏付け。この3つが揃っているかぎり、私は淡々と持ち続けます。取得利回りが14%を超えた銘柄は、売るより持っているほうが働いてくれる——高配当長期保有の考え方に、この会社はよく合っています。次は10月末ごろの中間決算で、中間計画(営業12.1億円)をどう着地させるかを確認したいところです。

10. 免責事項

本記事は筆者個人の保有記録と所感をまとめたものです。特定銘柄の売買を推奨するものではなく、投資助言でもありません。記載の数値は決算短信・決算補足資料・株探・Yahoo!ファイナンス等をもとにした概算で、実際の数値や最新の株価とは異なる場合があります。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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