2026年6月10日、保有銘柄の柿安本店(2294)が2026年4月期の本決算を発表しました。発表前に書いた決算発表予測の記事では「配当維持なるか正念場」と書きましたが、結果は配当85円維持・来期も85円予想と、減配回避が明確に示されました。結果を整理します。
1. 会社概要
柿安本店は三重県発祥の食肉・惣菜の老舗企業で、百貨店やスーパーへの惣菜販売(柿安ダイニング等)に加え、レストラン事業や精肉販売を展開しています。決算期はもともと2月期でしたが、2023年4月期(14ヶ月の変則決算)から4月期に変更されており、今回発表されたのは2026年4月期の本決算(通期決算)です。
2. 業績推移テーブル
| 年度 | 売上高 | 営業利益 | EPS |
|---|---|---|---|
| 2021年2月期 | 372.9億円 | 13.1億円 | 25.12円 |
| 2022年2月期 | 380.0億円 | 27.8億円 | 162.78円 |
| 2023年4月期(14ヶ月変則) | 439.1億円 | 35.1億円 | 210.55円 |
| 2024年4月期 | 370.5億円 | 22.0億円 | 133.67円 |
| 2025年4月期 | 361.0億円 | 15.0億円 | 71.50円 |
| 2026年4月期(実績) | 360.7億円 | 14.2億円 | 84.69円 |
| 2027年4月期(予) | 360.0億円 | 14.0億円 | 83.50円 |
売上はほぼ横ばい、営業利益は3期連続の減少となりましたが、減少幅は前期(-31.8%)から今期(-4.9%)へと大きく縮小しており、利益の底打ちが近いことを感じさせる推移です。
3. 決算ポイント(通期実績)
| 項目 | 2026年4月期 実績 | 前期比 | 会社計画 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 360億7,200万円 | -0.1% | 364億円(未達) |
| 営業利益 | 14億2,600万円 | -4.9% | 15億円(未達) |
| 経常利益 | 14億7,300万円 | -4.2% | 15億5,000万円(未達) |
| 当期純利益 | 8億1,100万円 | +15.7% | 8億5,000万円(未達) |
| EPS | 84.69円 | +18.4% | ― |
- 売上・利益とも下方修正後の会社計画にわずかに届かない着地でした。営業減益は3期連続です。
- 一方で純利益は+15.7%の増益。これは本業の回復というより、前期に3億2,100万円あった特別損失(店舗の減損損失など)が今期は1億1,000万円に減ったことが主因です。
- 最大の注目点だった配当は年間85円で維持(配当性向100.4%)。さらに来期2027年4月期も85円継続の予想が示され、心配していた減配は回避されました。
- 予測記事ではEPS予想68.29円を前提に「配当維持なら配当性向は約124%」と試算していましたが、実績EPSは84.69円となり、配当性向は100.4%と前期(118.9%)から改善しました。
- 自己資本比率は79.6%と非常に厚く、財務面では当面の配当を支える余力があります。
4. 来期(2027年4月期)の会社予想
| 項目 | 2027年4月期 会社予想 | 前期比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 360億円 | -0.2% |
| 営業利益 | 14億円 | -1.9% |
| 経常利益 | 14億5,000万円 | -1.6% |
| 当期純利益 | 8億円 | -1.4% |
| EPS | 83.50円 | -1.4% |
| 年間配当 | 85円(維持) | 配当性向101.8% |
来期はほぼ横ばい(微減収微減益)の保守的な計画です。予測記事で期待していた「業績の反転シナリオ」が明確に示されたとは言えず、回復の道筋は来期の四半期決算で確認していくことになります。
5. 配当の魅力
| 年度 | 1株配当 | EPS | 配当性向 |
|---|---|---|---|
| 2022年2月期 | 100円 | 162.78円 | 61.4% |
| 2023年4月期 | 85円 | 210.55円 | 40.4% |
| 2024年4月期 | 85円 | 133.67円 | 63.6% |
| 2025年4月期 | 85円 | 71.50円 | 118.9% |
| 2026年4月期(実績) | 85円 | 84.69円 | 100.4% |
| 2027年4月期(予) | 85円 | 83.50円 | 101.8% |
1株配当は2023年4月期から数えて来期予想まで5期連続の85円据え置きとなる見込みです。減配を回避し配当維持の姿勢を明確にした点は株主への強いメッセージですが、配当性向は2期連続で100%超と、稼いだ利益のほぼ全額(またはそれ以上)を配当に回す状態が続きます。配当の持続性は、最終的には業績の回復にかかっています。
NISA口座で100株保有していると仮定した場合、年間配当85円なら年間8,500円の配当金を非課税で受け取れる計算になります(税引前と税引後が同額)。
6. 類似銘柄との比較
同じ「惣菜・食肉」分野の上場企業と指標を比較してみます(数値は2026年6月11日時点の株予報Pro・Yahoo!ファイナンス等に基づく概算です)。
| 銘柄(コード) | 主な事業 | PER(予) | 配当利回り(予) | 配当性向の目安 |
|---|---|---|---|---|
| 柿安本店(2294) | 百貨店惣菜・精肉・レストラン | 約30倍 | 約3.4% | 約102%(予) |
| ロック・フィールド(2910) | 百貨店惣菜(RF1など) | 約42倍 | 約1.7% | 約183%(2025年4月期実績) |
| エスフーズ(2292) | 食肉の加工・卸売(こてっちゃん等) | 約18倍 | 約4.0% | 約73%(予) |
デパ地下惣菜の直接のライバルであるロック・フィールドも人件費・原材料費の上昇で大幅減益・配当性向180%超となっており、「利益が出にくく配当性向が100%を超える」のは柿安だけの問題ではなく業態全体の逆風であることがわかります。そのなかで柿安は減益幅を縮め、EPSベースでは配当をほぼカバーする水準(性向100.4%)まで戻してきました。業態内では相対的に持ち直しが早い部類と言えそうです。
7. 保有状況
私は柿安本店を取得単価2,274円で保有しています。決算発表翌日(6月11日)の株価は2,510円前後で、保有株数分で含み益が出ている状況です。配当利回りは取得単価ベースで約3.7%、現在値ベースで約3.4%となっています。
8. NISAとの相性
減配が回避され、来期も85円配当の予想が示されたことで、配当収入を目的としたNISA(成長投資枠)での保有という観点では最悪のシナリオは避けられました。ただし配当性向100%超・微減益計画という状態は変わっておらず、業績が想定より悪化すれば配当の前提も揺らぎます。新規・追加での投資は、四半期決算で利益の底打ちと回復を確認してからでも遅くないと考えています。
9. 個人株主としての見解
正直なところ減配のアナウンスも覚悟して臨んだ決算でしたが、「今期85円維持・来期も85円予想」という形で配当への強い意志が示されたことは、株主として素直にポジティブに受け止めています。純利益の増益は特別損失の反動という側面が大きく、本業(営業利益)はまだ減益が続いているため手放しでは喜べませんが、減益幅は明らかに縮小しており、底入れの兆しも見えます。来期の焦点は「85円配当を利益でしっかりカバーできるようになるか」。保有は継続し、四半期ごとの利益回復を見守りたいと思います。
10. 免責事項
本記事は筆者個人の投資記録および見解をまとめたものであり、特定の銘柄の購入・売却を推奨するものではありません。記載した数値は記事執筆時点の情報に基づくものです。投資判断はご自身の責任において、最新のIR情報をご確認の上で行ってください。


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