本日2026年8月13日、学究社(9769)が2027年3月期 第1四半期決算を発表します。発表前の今のうちに、注目ポイントを整理しておきます。
学究社は例年、4-6月期(第1四半期)が季節要因で最終赤字になりやすい構造を持っています。直近2期(2024年・2025年)はいずれも最終赤字で、今回もその可能性が高いとみられます。ただし通期で見ると、経常利益はすでに過去最高を更新中、純利益も2023年3月期以来4期ぶりの最高益更新を計画しており、配当も3期連続の増配が見込まれています。「1Q単体の数字」と「通期の実力」、両方の視点から見ていきます。
1. 会社概要
株式会社学究社は、1972年に国立市で誕生した学習塾「国立学院」を前身とし、1976年に設立(1985年に学習塾業界で初めて株式上場)。本社は東京都渋谷区代々木にあります。中学・高校・大学受験生を対象とした進学塾「ena」の運営を中核とする教育事業と、保有不動産による賃貸事業(不動産事業)の2事業を展開しています。東証プライム上場。

教育事業の柱は、小学部・中学部・高校部からなる進学塾「ena」で、特に難関中学受験指導に強みを持ちます。このほか個別指導の「ena個別」、オンライン学習の「enaオンラインclass」「オンライン家庭教師Camp」、最難関校向けの「ena最高水準」、看護医療・歯学・薬学系の「ena歯学・薬学・看護」、芸大・美大受験の「ena美術」など、多様な受験ニーズに対応するブランドを展開しています。
2. 業績推移テーブル
| 決算期 | 売上高 | 経常利益 | 純利益 | EPS | 配当 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023年3月期 | 129.9億円 | 27.9億円 | 18.8億円 | 171.5円 | 87円 |
| 2024年3月期 | 132.0億円 | 27.2億円 | 18.3億円 | 168.0円 | 87円 |
| 2025年3月期 | 132.9億円 | 26.6億円 | 18.6億円 | 171.4円 | 90円 |
| 2026年3月期(実績) | 130.7億円 | 30.0億円 | 18.5億円 | 170.1円 | 103円 |
| 2027年3月期(会社予想) | 146.6億円 | 32.4億円 | 21.9億円 | 201.1円 | 127円 |
経常利益は2026年3月期に30.0億円となり、それまでの最高だった2023年3月期の27.9億円を上回って過去最高を更新しました。今期(2027年3月期)はさらに32.4億円(+7.9%)への増益を計画しています。一方で純利益は、2023年3月期の18.8億円が今なお過去最高で、2026年3月期の18.5億円はわずかに届いていません。今期予想の21.9億円(+18.3%)が実現すれば、純利益は4期ぶりに過去最高を更新することになります。
3. 決算ポイント(予測)
①4-6月期(第1四半期)は、学究社にとって毎年もっとも収益が薄くなる時期です。過去8四半期の最終利益を並べると、7-9月期(夏期講習収入が計上される時期)や10-12月期(受験直前講習収入が計上される時期)が稼ぎ頭になる一方、4-6月期は直近2期連続(2024年▲2,800万円・2025年▲6,600万円)で最終赤字となっています。新学年がスタートしたばかりで月謝収入が中心となる一方、夏期講習前で人件費など固定費が先行しやすく、季節的に赤字になりやすい構造です。今回発表される2026年4-6月期も、同様の傾向になる可能性が高いとみられます。

②とはいえ、これは学究社にとって”通常運転”です。通期の会社計画は経常利益+7.9%・純利益+18.3%という増益計画で、1Q単体の赤字が通期の業績に与える影響は限定的です。むしろ注目したいのは、赤字幅が前年(▲6,600万円)からどれだけ縮小するか、あるいは黒字転換に近づくかどうかという方向感です。
③配当性向は2026年3月期実績で60.6%(103円÷EPS170.1円)。今期予想は63.2%(127円÷EPS201.1円)とやや上昇しますが、無理のある水準ではありません。
4. 通期業績予想
2027年3月期の会社計画は、売上高146.6億円(前期比+12.1%)、経常利益32.4億円(+7.9%)、純利益21.9億円(+18.3%)、EPS201.1円(+18.3%)です。売上の伸び(+12.1%)に対して経常利益の伸び(+7.9%)がやや控えめなのは、教室展開や人件費など先行投資的なコストの増加を織り込んだ計画とみられます。
学究社は中間期・四半期ごとの業績予想を開示していません(配当のみ中間62円・期末65円で開示済み)。そのため1Qの着地水準を測る明確なものさしはありませんが、過去の実績(前期1Qは▲6,600万円の赤字)をふまえると、今回もマイナス圏での着地は十分に想定内です。重要なのは金額そのものより、前年同期比でどれだけ改善しているかという方向感です。
5. 配当の魅力
学究社の配当は、2016年3月期以降しばらく60円前後で足踏みしていましたが、2021年3月期の65円から緩やかな増配基調に転じました。直近では2025年3月期・2026年3月期と2期連続で増配しており、2027年3月期(今期)も127円(+23.3%)への増配を計画しています。実現すれば3期連続の増配です。

配当性向は前述の通り63.2%(予想)で、利益の伸びに沿った無理のない範囲に収まっています。同社は「業績に対応した成果の配分」を株主還元の基本方針としており、今期の増益計画がそのまま増配にも反映された形です。
6. 類似銘柄との比較
| 銘柄 | PER(予) | 配当利回り(予) | 配当性向(予) |
|---|---|---|---|
| 学究社(9769) | 13.3倍 | 4.76% | 63.2% |
| 早稲田アカデミー(4718) | 14.9倍 | 3.27% | 48.8% |
| 市進ホールディングス(4645) | 9.9倍 | 2.32% | 23.0% |
| 進学会ホールディングス(9760) | 66.7倍 | 無配 | – |
※数値は2026年8月12日時点の概算(株探等各種情報サイトに基づく)。
学習塾業界で比較すると、学究社は配当利回り4.76%で4社の中で最も高く、配当性向も6割強とバランスの取れた水準です。早稲田アカデミーは首都圏を中心に幅広い校種を展開する最大手級で、配当性向は5割弱と手堅い水準にあります。市進HDは今期、純利益が前期比43.5%減となる計画で、進学会HDは業績立て直しの途上にあり、いずれも配当面では学究社に見劣りします。同業4社の中では、学究社は「収益性と株主還元のバランスが取れたポジション」にあると言えそうです。
7. 保有状況
私は学究社を保有株数分保有しています。取得単価は2,246円、2026年8月12日終値は2,670円で、含み益は+18.9%程度です。取得単価ベースの利回り(取得利回り)は127円÷2,246円=5.65%となります。
8. NISAとの相性
配当利回りが4%台後半という高水準にあり、NISA口座で保有すれば配当金にかかる約20%の税金が非課税になるメリットは大きい銘柄です。仮に100株をNISA枠で保有した場合、今期予想配当127円ベースで年間12,700円がまるまる非課税で受け取れる計算になります(あくまで一般的な試算例です)。
9. 個人株主としての見解
今回発表される1Qは、おそらくまた赤字での着地になると予想しています。ただしそれは学究社にとって毎年のことで、慌てるような話ではないと捉えています。むしろ私が注目しているのは、①経常利益がすでに過去最高を更新していること、②純利益も4期ぶりに過去最高を更新する計画であること、③配当が3期連続の増配計画であること、の3点です。中学受験市場は都心部を中心に堅調が続いており、学究社の教室展開・ブランド力はこの追い風を素直に取り込めていると感じます。
一方で、少子化という長期的な逆風がある業界であることは常に意識しておきたいところです。学究社は難関中学受験という「量より質」の需要を取り込むことで成長してきましたが、この戦略がどこまで通用し続けるかは、今後も定点観測していきたいと思います。1Qの発表数字が出たら、答え合わせも兼ねて改めてレポートを書く予定です。
10. 免責事項
本記事は個人投資家である筆者の見解・記録であり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。記事中の数値は各種公開情報をもとに作成していますが、正確性を保証するものではなく、また将来の業績・配当を保証するものでもありません。投資判断はご自身の責任において行ってください。


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