2026年8月3日、東京センチュリー(8439)の2027年3月期第1四半期決算が発表されます。本記事はその「発表前」時点で確認できる情報を整理した予測記事です。実績が判明次第、別途「決算レポート」記事で答え合わせを行う予定です。
1. 会社概要
東京センチュリー株式会社(証券コード8439、東証プライム市場)は、伊藤忠商事を筆頭株主とする持分法適用関連会社で、国内外で幅広い分野のリース・ファイナンス事業を手掛ける総合リース会社大手の一角です。決算期は3月期。
事業は大きく5つのセグメントで構成されています。
- 国内リース事業:情報通信機器、事務用機器、産業工作機械、輸送用機器、商業・サービス業用設備などのリース・ファイナンス
- オートモビリティ事業:法人・個人向けオートリース、レンタカー、カーシェアなど
- スペシャルティ事業:船舶、航空機(米国子会社Aviation Capital Group=ACGによる航空機リース)、不動産など
- 国際事業:海外現地法人を通じたリース・金融サービス
- 環境インフラ事業:太陽光・バイオマスなど再生可能エネルギー、系統用蓄電池など
単に「リース会社」というより、商社系の総合金融サービス会社に近い事業ポートフォリオを持っている点が特徴です。
2. 業績推移テーブル(直近の通期実績)
| 決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 親会社株主に帰属する当期純利益 | EPS | 年間配当 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2022年3月期 | 12,779億円 | 826億円 | 905億円 | 502億円 | 102.89円 | 35.75円 |
| 2023年3月期 | 13,249億円 | 912億円 | 1,061億円 | 47億円 | 9.74円 | 35.75円 |
| 2024年3月期 | 13,461億円 | 1,042億円 | 1,173億円 | 721億円 | 147.32円 | 52.00円 |
| 2025年3月期 | 13,686億円 | 1,170億円 | 1,322億円 | 852億円 | 174.51円 | 62.00円 |
| 2026年3月期 | 14,576億円 | 1,483億円 | 1,634億円 | 1,113億円 | 227.82円 | 80.00円 |
| 2027年3月期(会社予想) | ― | ― | ― | 1,230億円 | 251.66円 | 90.00円(予想) |
2023年3月期に純利益が一時的に急落しているのは、子会社ACG(航空機リース)がロシアの航空会社にリースしていた機体等について、回収不能と判断して特別損失を計上したことが主因です。その後、戦争保険の保険会社から和解金の支払いを受けるなど一部回収が進み、2026年3月期の大幅増益(前期比+30.5%)にはその保険和解金(約400億円)の計上も寄与しています。数字の伸びを見る際は、こうした一過性要因が混ざっている点に注意が必要です。
なお2027年3月期の会社予想は、決算短信上は親会社株主に帰属する当期純利益とEPSのみが開示されており、売上高・営業利益・経常利益の通期予想数値は本資料時点では公表されていません。
3. 決算ポイント(予測)
会社は2026年5月11日の本決算発表時に、2027年3月期通期の純利益計画1,230億円(前期比+10.5%)、EPS251.66円を公表済みです。前期の+30.5%という大幅増益に比べると伸び率は鈍化する計画ですが、これは前期に含まれていた保険和解金という一過性要因の反動を織り込んだものと考えられます。
今回は第1四半期決算のため、通期計画に対する進捗率を確認する視点が重要です。参考として、前年同期にあたる2026年3月期第1四半期(2025年4-6月)の実績は以下の通りでした。
| 項目 | 前年同期(2025年4-6月) | 前々年同期比 | 当時の通期計画 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 経常利益 | 373億円 | ▲2.4% | ― | ― |
| 親会社株主に帰属する四半期純利益 | 221億円 | ▲4.0% | 930億円 | 23.7% |
| EPS | 45.25円 | ▲3.7% | 190.62円 | 23.7% |
前年同期は、スペシャルティ事業(ACGなど)が前々年同期に計上した一過性収益の反動で減益だった一方、国内リース・オートモビリティ・国際・環境インフラの4事業は増益となり、通期計画に対する進捗率は約24%でした(その後、通期では保険和解金の計上もあり計画を大きく上回る実績で着地しています)。今回の1Qでも、通期純利益計画1,230億円に対して同程度の進捗率(2割台前半)を確保できているかが一つの目安になりそうです。
配当性向は近年35%前後で安定的に推移しており(2025年3月期35.5%、2026年3月期35.1%、2027年3月期予想35.8%)、急激な悪化は今のところ見られません。中期経営計画では「累進配当を基本としつつ、利益成長による増配を目指し、配当性向35%以上」という方針が示されており、今回の1Q決算でこの利益成長ペースに変化がないかも注目点です。
4. 今期(発表対象期)の会社予想
2027年3月期(2026年4月~2027年3月)について、会社が2026年5月11日時点で公表している連結業績予想は以下の通りです。
- 親会社株主に帰属する当期純利益:1,230億円(前期比+10.5%)
- EPS:251.66円
- 年間配当予想:90円(前期比+10円、中間45円/期末45円)
- 配当性向予想:35.8%
※ 売上高・営業利益・経常利益の通期予想は、決算短信上では具体的な数値が開示されておらず、純利益ベースの予想のみが公表されている点にご注意ください。
5. 配当の魅力
| 決算期 | EPS | 年間配当 | 配当性向 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 174.51円 | 62.00円 | 35.5% |
| 2026年3月期 | 227.82円 | 80.00円 | 35.1% |
| 2027年3月期(予想) | 251.66円 | 90.00円 | 35.8% |
東京センチュリーは「累進配当」(減配せず、維持または増配する)を方針として掲げています。株式分割考慮後の配当推移で見ると、2010年3月期の8.00円から2027年3月期予想の90.00円まで、17年間で配当は約11倍に拡大しました。この間、2023年3月期(ロシア関連の特別損失で純利益が急減した期)に前期と同額の配当を維持した以外は、基本的に毎期増配を続けています。業績が大きくブレた年でも減配せずに配当を維持した実績は、累進配当方針への信頼性を裏付けるものと言えそうです。
2026年7月31日終値2,623円を基準にすると、2027年3月期予想配当90円に対する配当利回りは約3.43%です。
6. 類似銘柄との比較
総合リース会社大手のオリックス(8591)、三菱HCキャピタル(8593)、芙蓉総合リース(8424)と比較しました。数値は2026年7月31日時点の株予報Pro(kabuyoho.ifis.co.jp)・各社公表資料に基づく概算です。
| 銘柄 | 株価(7/31) | PER(会社予想) | 配当利回り(予想) | 配当性向(予想) | 増配実績 |
|---|---|---|---|---|---|
| 東京センチュリー(8439) | 2,623円 | 10.4倍 | 約3.43% | 35.8% | 累進配当方針(2023年3月期は据え置き) |
| オリックス(8591) | 6,410円 | 13.3倍 | 約2.92% | 39% | 増配計画 |
| 三菱HCキャピタル(8593) | 1,473円 | 13.2倍 | 約3.46% | 45.8% | 28期連続増配予定 |
| 芙蓉総合リース(8424) | 4,543円 | 8.5倍 | 約3.79% | 32.3% | 22期連続増配予定 |
PERで見ると東京センチュリーは芙蓉総合リースに次いで低く、割高感は目立ちません。配当性向は三菱HCキャピタル(45.8%)より抑制的で、オリックス(39%)と近い水準です。配当利回りは4社の中で中位ですが、直近の増益ペース(前期純利益+30.5%)は4社の中でも高い部類に入ります。「連続増配の年数」という点では三菱HCキャピタル・芙蓉総合リースのように毎期の記録を前面に出す会社ではありませんが、業績変動があった年でも減配しなかった実績を持つ累進配当銘柄として、業界内で相応のポジションを占めていると言えそうです。
7. 保有状況
筆者は東京センチュリー(8439)を保有株数分保有しています(保有株数は非公開)。取得単価は1,476円、2026年7月31日終値は2,623円で、含み益が出ている状況です。
8. NISAとの相性
東京センチュリーは配当性向35%前後・累進配当方針という安定した株主還元姿勢を持つため、配当所得が非課税になるNISA成長投資枠との相性は比較的良いと考えられます。特に、業績が一時的にブレても配当を維持してきた実績は、長期保有で配当を積み上げていきたいNISA運用と相性が良い要素です。
一方で、リース業は資金調達コストの影響を受けやすく、金利上昇局面では利ざやが圧迫されるリスクがあります。また海外事業(航空機リースなど)は為替や地政学リスクの影響も受けやすいため、株価変動リスクがある点はNISAであっても変わりません。非課税メリットだけを見て高値掴みをしないよう、購入タイミングは慎重に検討したいところです。
9. 個人株主としての見解
明日発表される2027年3月期第1四半期決算は、通期純利益計画1,230億円に対する進捗確認が主な見どころだと考えています。前期の大幅増益には保険和解金という一過性要因が含まれていたため、今期のペースがそれと単純比較でどう見えるかにはブレが生じやすい点は意識しておきたいところです。
値上がりを期待して先回りするような銘柄ではなく、累進配当方針のもとで安定的に配当を積み上げてくれるかを淡々と見守る、というスタンスで保有を続けたいと思います。一時的な数字の上下に一喜一憂せず、通期の進捗と配当方針の継続性を確認していきます。
10. 免責事項
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任において行ってください。記載内容は執筆時点(2026年8月2日)で確認できた情報に基づいており、その正確性を保証するものではありません。また、本記事で言及した会社予想は将来の業績を保証するものではなく、実際の業績は様々な要因により予想と異なる可能性があります。


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