オルカン(eMAXIS Slim 全世界株式・オール・カントリー)の第8期運用報告書、読みましたか? 正直なところ、全20ページを開く時間がない——そんな方が大半ではないでしょうか。私も同じで、「読みたい。でも後回しにして結局読まない」を毎年繰り返しそうになります。
そこで今回は、報告書をもう一度読み直して、数字だけを拾いました。解説は最小限。表と図だけざっと眺めれば、3分で第8期の全体像がつかめる構成にしています。じっくり派の方は、先日公開した初心者向けのポイント解説記事とあわせてどうぞ。
※以下の数字はすべて、三菱UFJアセットマネジメントの交付運用報告書(第8期:2025年4月26日〜2026年4月27日)から拾ったものです。
1. 成績 ― 数字4つ
| 基準価額 | 24,270円 → 35,924円 |
| 騰落率 | +48.0% |
| ベンチマーク(MSCI ACWI) | +47.8%(差 +0.2pt) |
| 分配金 | 0円(全額を内部で再投資) |
指数に連動させるのが仕事のインデックスファンドが、コストを引かれてなお指数を0.2pt上回りました(配当税率の差などの技術的要因)。「連動の精度」という本業で満点回答です。
2. 5年間の歩み ― 基準価額は2.4倍
| 決算日 | 基準価額 | 年間騰落率 | 純資産総額 |
|---|---|---|---|
| 2021/4 | 14,681円 | ― | 1,553億円 |
| 2022/4 | 16,958円 | +15.5% | 5,065億円 |
| 2023/4 | 17,562円 | +3.6% | 1兆170億円 |
| 2024/4 | 24,005円 | +36.7% | 3兆902億円 |
| 2025/4 | 24,270円 | +1.1% | 5兆3,176億円 |
| 2026/4 | 35,924円 | +48.0% | 11兆2,878億円 |

5年前に買った1万口は約2.4倍になりました。ただし表をよく見ると、+48.0%の当期の前の年はわずか+1.1%。「毎年48%増える」わけではなく、凪の年と大漁の年の平均として増えていく——この5年分の数字がそれを雄弁に語っています。
3. お金の流れ ― 純資産11.3兆円、1年で約2.1倍
| 純資産総額 | 11兆2,878億円(前期末5兆3,176億円から約2.1倍) |
| 期中の追加設定(買われた額) | 1兆1,492億円 |
| 期中の解約(売られた額) | 1,981億円 |
| 差し引きの純流入 | 約9,511億円(買い:売り ≒ 5.8:1) |
相場上昇に加えて、1年間で約9,500億円の「新しいお金」が流れ込みました。解約の5.8倍の買いが入り続けている——積立投資の定着ぶりが数字に出ています。
4. 中身 ― 実質2,500銘柄超、トップはやはり米国テック
| 組入ファンド | 組入比率 | 期中騰落率 | 銘柄数 |
|---|---|---|---|
| 外国株式マザー(先進国) | 83.0% | +45.7% | 1,169 |
| 新興国株式マザー | 12.0% | +67.7% | 1,182 |
| 日本株式マザー | 5.0% | +47.0% | 179 |

意外な数字は新興国の+67.7%。当期いちばん働いたのは、比率12%の新興国部分でした。組入上位の顔ぶれは以下のとおりです(外国・新興国マザーのデータは2025年5月12日現在、日本マザーは2026年4月27日現在)。
| 先進国 上位5 | 新興国 上位3 | 日本 上位3 | |
|---|---|---|---|
| 1 | マイクロソフト 4.6% | TSMC 9.2% | 三菱UFJ FG 4.0% |
| 2 | アップル 4.5% | テンセント 4.9% | トヨタ自動車 3.7% |
| 3 | エヌビディア 4.3% | アリババ 3.0% | 日立製作所 3.1% |
| 4 | アマゾン 2.7% | ||
| 5 | メタ 1.9% |
※比率は各マザーファンド内での構成比。先進国マザーの国別配分はアメリカが73.0%です。
5. コスト ― 100万円あたり年700円
| 総経費率(年率) | 0.07%(投信会社0.02+販売会社0.02+受託会社0.02+その他0.01) |
| 1万口当たりの費用合計 | 26円(信託報酬18円+売買手数料1円+取引税3円+その他4円) |
| 100万円投資した場合の目安 | 総経費率ベースで年約700円(売買コスト等まで含めると約850円) |

100万円を1年間まるごと任せて約700円。コーヒー1〜2杯分で、世界約2,500銘柄への分散投資が回り続けます。この価格競争の恩恵を、私たちは静かに受け取っています。
6. リスクの数字 ― 「振れ幅」も報告書は教えてくれる
| 過去5年の1年騰落率(2021/4末〜2026/3末) | 当ファンド |
|---|---|
| 最大 | +48.7% |
| 平均 | +21.5% |
| 最小 | ▲5.6% |
直近が絶好調な今こそ確認しておきたい数字です。過去5年でもマイナス5.6%の1年がありましたし、もっと長い歴史では▲30%級の年も普通に起こります。+48%の年の隣に▲5%の年が並ぶのが株式投資の正常運転——報告書はそれを毎年、静かに教えてくれます。
7. まとめ ― 第8期を数字10個で
| ① 騰落率 | +48.0% | ② ベンチマーク差 | +0.2pt |
| ③ 基準価額 | 35,924円 | ④ 5年で | 約2.4倍 |
| ⑤ 純資産 | 11.3兆円 | ⑥ 年間純流入 | 約9,511億円 |
| ⑦ 実質銘柄数 | 約2,530 | ⑧ 米国比率(先進国内) | 73.0% |
| ⑨ 総経費率 | 0.07% | ⑩ 分配金 | 0円 |
私自身は高配当の個別株を「配当という現金収入の柱」、オルカンを「世界の成長を丸ごと受け取る柱」として並行して積み立てています。この両輪の後者が、低コストのまま巨大に、そして静かに育っている——20ページの報告書から拾った数字は、その安心材料として十分でした。来年もまた、数字だけでも眺めてみてください。3分で済みます。
免責事項
本記事は筆者個人の学習記録・見解を共有するものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。記載の数値は交付運用報告書(第8期)に基づいていますが、その正確性を保証するものではありません。投資判断はご自身の責任において行ってください。


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