【決算発表予測】キヤノン(7751) 2026年12月期 第2四半期 ― メモリー高で1Q営業▲26%、下方修正後の中間決算を点検

キヤノン2026年12月期第2四半期決算発表予測アイキャッチ 決算速報レポート

【追記】7月27日に決算が発表されました。結果は中間の営業利益が+7.6%の増益、通期見通しも上方修正で、この記事の「減益基調が濃厚」という見立ては外れました。中身の答え合わせはこちらの決算レポート記事にまとめています。

7月27日、キヤノン(7751)が2026年12月期の第2四半期(中間)決算を発表します。国内トップの精密機器メーカーで、私も長く保有している高配当・大型株です。この記事は発表前の「予測」として、直近1Qで何が起きたか、中間決算で何を見ればよいかを、決算短信など会社の一次情報をもとに整理したものです。数字は発表前の会社計画・実績であり、当日の結果は変わり得る点をご承知おきください。

1. 会社概要

キヤノンは1937年創業、東京都大田区に本社を置く精密機器の世界的メーカーです。事業は大きく「プリンティング(複合機・レーザー/インクジェットプリンター)」「イメージング(ミラーレスカメラ・ネットワークカメラ)」「メディカル(医療機器)」「インダストリアル(半導体・FPD露光装置)」の4つに分かれ、幅広い分野で収益を上げています。海外売上比率が高く、為替や部材コストの影響を受けやすいのが特徴です。

キヤノンの主な事業
キヤノンの主な事業。カメラから複合機、医療機器、半導体露光装置まで幅広い。

2. 業績推移

決算期売上高営業利益純利益EPS年間配当
2023/12実績4兆1,810億3,754億2,645億264.2円140円
2024/12実績4兆5,098億2,798億1,600億165.5円155円
2025/12実績4兆6,247億4,554億3,321億367.5円160円
2026/12会社計画4兆7,650億4,560億3,330億392.1円160円(予)
出所:決算短信。2024年は一時的な減益から2025年に大きく回復。2026年計画は増収だが営業利益はほぼ横ばい。

2025年は営業利益4,554億円と大きく回復し、過去最高水準に迫りました。今期2026年の会社計画は売上こそ+3.0%の増収ですが、営業利益は+0.1%とほぼ横ばいです。ここに、今回の中間決算を読むうえでの最大の論点が隠れています。

3. 決算ポイント(予測)

すでに発表済みの第1四半期(1〜3月)が、営業利益で前年同期比▲26.1%の大幅減益でした。売上高は+3.3%の増収だったのに、利益が大きく落ちたのです。会社の説明によると、主因は次の3つです。

  • 半導体メモリー価格の高騰…カメラや複合機など幅広い製品にメモリーを使うため、この価格上昇だけで営業利益を約500億円押し下げたとされます。
  • 研究開発費の増加…次世代製品に向けた先行投資。
  • 部材費・物流コストの上昇…原材料や輸送コストの負担増。
キヤノン四半期営業利益の推移
直近1Q(26年1-3月)の営業利益は前年同期比▲26%。増収でも利益が落ちた。

キヤノンはこの1Qを受けて、4月23日に通期の営業利益計画を4,790億円→4,560億円へ引き下げ済みです(約230億円の下方修正)。つまり「悪い数字」はいったん計画に織り込まれた状態で今回の中間決算を迎えます。中間決算での注目点は次のとおりです。

  • 上期の進捗…前年の上期(2025年1〜6月)は営業利益2,143億円。今期はここからどれだけ落ちているか。1Qが▲26%なので、中間も減益基調が続く可能性が高いです。
  • メモリー高の行方…最大の逆風であるメモリー価格が高止まりか、落ち着いてきたか。下期回復シナリオの前提になります。
  • 通期計画の再修正リスク…下方修正後の4,560億円を維持できるか、さらに下げるのか。中間はその判断材料が出る場です。

4. 今期(2026年12月期)の会社予想と「下期回復シナリオ」

ここが少しわかりにくいところなので丁寧に書きます。キヤノンは中間期(上期)の業績予想を個別に公表せず、通期の見通しだけを示す会社です。ですから中間決算では「会社の中間予想を上回ったか」ではなく、「前年同期と比べてどうか」「通期計画に向けて進んでいるか」で見ることになります。

通期の営業利益計画4,560億円は、前期(4,554億円)とほぼ同じ水準です。ところが1Qは▲26%と大きく凹んでいる。ということは、下期(7〜12月)でかなり強く挽回しないと計画に届かない構図になっています。前期は10〜12月の営業利益が1,530億円と突出して大きく、季節的に下期偏重の傾向があります。この下期の山が今年も来るのか——中間決算は、その「下期回復シナリオ」が現実的かどうかを確かめる回だと私は見ています。

5. 配当の魅力

キヤノンは株主還元に積極的な会社です。2026〜2030年の新経営構想「Phase VII」で、累進配当(減配せず、維持または増配を基本とする)・配当性向40%目途・機動的な自社株買いを掲げています。

キヤノン配当推移
配当は120→140→155→160円と増配してきた。2026年は160円据え置き計画。
項目数値(2026/12計画ベース)
年間配当(予想)160円(中間80円+期末80円)
予想EPS392.1円
予想配当性向約40.8%
配当利回り(7/23終値4,529円)約3.5%
方針累進配当・性向40%目途・自社株買い

2026年の配当は160円で据え置き計画ですが、これは減配ではありません。累進配当方針のもと、利益がほぼ横ばいの局面で配当水準を維持する判断です。むしろ注目したいのは純利益がほぼ横ばい(+0.3%)なのに予想EPSは+6.7%伸びている点。これは自社株買いで株数が減り、1株あたりの価値が高まっているためで、配当と並ぶもう一つの株主還元がしっかり効いていることを示します。

6. 類似銘柄との比較

銘柄予想PERPBR配当利回り
キヤノン(7751)11.6倍1.12倍3.53%
リコー(7752)14.2倍0.76倍2.82%
セイコーエプソン(6724)16.1倍1.11倍2.71%
ニコン(7731)73.2倍1.25倍0.90%
数値は2026年7月23日時点の株探等に基づく概算。ニコンは業績低迷でPERが大きく上振れており参考値。

事務機・映像・精密のライバルと並べると、キヤノンはPERが最も低く、配当利回りは最も高い位置にあります。規模・財務・還元姿勢を踏まえると、業界内では割安・高配当のバランス型と言えます。ただし今期は利益が横ばい計画で、メモリー高という逆風を抱えている点は割り引いて見る必要があります。

7. 保有状況

私はキヤノンを取得単価3,053円で保有株数分保有しています。7月23日終値は4,529円で、含み益は約+48%。取得単価に対する配当利回り(取得利回り)は約5.2%まで育っており、長く持つほど増配と株価上昇の両方が効いてくる、高配当長期保有のお手本のような銘柄です。今回の中間決算で一時的に数字が悪く出ても、累進配当と自社株買いの方針が続く限り、私は淡々と保有を続ける方針です。

8. NISAとの相性

配当利回り3.5%前後の大型株は、NISA成長投資枠との相性が良い銘柄です。仮に100株(約45万円)をNISAで保有した場合、年間配当16,000円が非課税で受け取れます(通常は約20%課税されるため、手取りで約3,200円の差)。値動きは相場全体の影響を受けますが、累進配当方針のもとで配当が下がりにくい設計は、非課税の恩恵を長く享受するうえで心強い材料です。

9. 個人投資家としての見解

今回の中間決算は、正直に言えば「良い数字」は期待しづらい回です。1Qが▲26%で、上期は減益基調が濃厚。私が見たいのは瞬間の数字そのものより、①メモリー高という逆風が和らぐ兆しがあるか、②下期回復シナリオを会社がどう説明するか、③累進配当の姿勢が揺るがないかの3点です。逆風は多くが外部要因(部材コスト)で、キヤノン自身の稼ぐ力が壊れたわけではありません。目先の減益で株価が揺れる場面はむしろ、高配当株をじっくり積み増したい私のような投資家にとっては悪い話ばかりではない、と冷静に構えています。飛びつかず、淡々と。それが私のスタンスです。

10. 免責事項

本記事は決算発表前の予測であり、筆者個人の保有記録と所感をまとめたものです。特定銘柄の売買を推奨するものではなく、投資助言でもありません。記載の数値は決算短信・株探・Yahoo!ファイナンス等をもとにした概算で、実際の決算結果や最新の株価とは異なる場合があります。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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