【追記】2026年6月12日、スペースXは予想通りナスダックに上場し、初日株価は+19%という結果になりました。その後の続報コラムもあわせてご覧ください。
世界中が沸いている
2026年6月12日(米国時間)、イーロン・マスク氏率いるスペースX(ティッカー:SPCX)がナスダックに上場します。報道によるとIPO価格は135ドル、企業価値は約1.75兆ドル。2019年のサウジアラムコを超える、人類史上最大のIPOです。衛星通信「スターリンク」の契約者は1,000万人を超え、売上は年5割ペースで成長しているとのこと。話題にならないわけがありません。
実は私も、ロケットが着陸する映像を見るのが好きです。宇宙産業の成長には心からワクワクしています。
それでも、私は買いません
理由は3つあります。
① 配当がないから。私の個別株投資の軸は「高配当×長期保有×NISA」です。スペースXは成長への再投資を優先する企業で、配当は当面期待できません。どれだけ素晴らしい企業でも、私のポートフォリオに置く場所がないのです。
② 値段の手がかりがないから。私が普段の決算記事で見ているのは、業績の推移、配当の履歴、配当性向といった「積み上がった実績」です。上場したばかりの株にはこれがありません。今日つく値段は、実績ではなく熱狂が決めます。それが高いのか安いのか、私には判断できません。
③ スタンドプレーになりかねないから。堅実な長期投資を続けるうえで一番怖いのは、退屈に耐えられなくなって「一発」を狙いに行くことだと思っています。お祭りの中で新規上場株に飛び乗るのは、チームプレーで勝ってきた選手が突然スタンドプレーに走るようなもの。当たれば気持ちいいでしょうが、私の勝ち方ではありません。
過去の「超話題IPO」はどうなったか
- フェイスブック(2012年):上場後数ヶ月で株価はほぼ半分に。ただしその後は大きく成長し、長期では大成功
- リビアン(2021年):EVブームの熱狂で時価総額がフォードを超えたものの、その後高値から9割下落
- サウジアラムコ(2019年):当時史上最大のIPO。株価は派手に動かず、どちらかといえば配当株として推移
つまり「話題の大きさ」と「その後の株価」は別物です。当たりも外れもあり、どちらに転ぶかを当てるゲームは、私の土俵ではありません。
買わない私も、いずれ「自動的に株主」になる
ここからが、この記事で一番お伝えしたいことです。
私は高配当株への長期投資と並行して、投資信託の積み立てを続けています。eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)とeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)——いわゆる「オルカン」と「S&P500」です。インデックスの長期積み立ては、高配当株と並ぶ、私の投資人生のもう一つの軸です。
そしてスペースXほどの規模の企業が上場すると、いずれ主要な株価指数への組み入れが検討されることになります。オルカンが連動する全世界指数は、大型の新規上場銘柄を定期的な見直しで取り込んでいきますし、S&P500には黒字実績などの採用条件があるものの、スターリンク部門はすでに営業黒字と報じられており、条件が揃えば組み入れは時間の問題かもしれません。
組み入れられたその日から、私のオルカンとS&P500の中に、スペースXがほんの少しだけ入ってきます。つまり「買わない」と決めた私も、何もしなくても、いずれ自動的にスペースXの株主になる可能性が高いのです。行列に並ばず、熱狂が決めた値段で買わされることもなく、世界の成長の果実は、淡々と積み立てを続けているだけで回ってくる。
これがインデックス投資のよくできたところです。「個別株は配当をくれる銘柄しか買わない」という自分ルールを守りながら、スペースXのような無配の成長企業の伸びも取りこぼさない。高配当株の軸とインデックスの軸は、こうやってお互いの弱点を補い合っています。だから私は、お祭りの日も慌てずにいられるのだと思います。
まとめ:お祭りは見物席から
スペースXの挑戦は素直に応援していますし、上場後に決算が公開されるようになったら、興味深く読むと思います。ただ、私のお金は今日も、地味に配当をくれる銘柄たちと、世界中に分散された投資信託の中で働いてもらいます。お祭りは見物席から楽しむ。それでも果実は、いずれ向こうからやってくる。それが私の結論です。
免責事項
本記事は筆者個人の見解をまとめたコラムであり、特定の銘柄の購入・売却を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任において行ってください。


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